2010.02.02 Tuesday
ライ麦畑でトイレ待ち
サリンジャーについて、何か書いておくべきなのかもしれない。
きっかけが何だったのかさえ思い出せない。
スノッブという言葉さえ知らなかった。
僕はとにかく、優等生然としていた。勉強ができたし、先生には気に入られていた。クラスで浮いている子がいるとすすんで話かけた。不良グループとも、それなりに仲良くしていた。
まぁ、よくある話だけど、優等生然としていて実は、僕は心の中でみんなを馬鹿にしていた。みんな、くだらない、クズばっかりだと。
我が侭なガキばっかりだ。陰湿な女の子たちも嫌いだ。先生たちも、体面を取り繕ってばかりで何も考えていやしない。みんなして頭が悪い。ほんとに、どいつもこいつもクズばっかりだ。
「ライ麦畑でつかまえて」を、僕は何故読もうと思ったんだろうか。
女子の間で嫌われている女の子から、ラブレター的なものを貰ったことがある。僕は、それを破ってゴミ箱に捨てた。なんか気持ちわりぃな、という様子で。
変なプライドを身につけた僕には、そんなひどいこともできた。余裕でできた。一番のクズは自分自身だということにもほんとは気づいていたけれど、そこだけは無視して、変なプライドは、僕をどんどん駄目な人間にしていった。
その女の子は、恥ずかしそうに、僕に尋ねた。手紙読んでくれましたか、と。僕は当然のように、うん、ありがとう、と答えた。出来るだけ爽やかに、もちろん笑顔で。心の中でせせら笑いながら、ありがとう、と僕は答えた。くだらないんだよ、お前も、みんなも、世の中ぜーんぶ。はは、ばーか。まったく、気が滅入る。
最近、街で彼女を見かけた。あまり変わってなくて、僕は少しだけ安心した気がする。僕は黙って彼女を見ていたけれど、最後まで目が合うことはなかった。もう会うことはないだろうと思う。
人は成長する。これは真実だ。だとしたら、今の僕は14歳の僕から7年後の僕なわけで、もちろん成長したはずだ。
ところが、だ。
僕はどうもクズのままのようだ。それどころか、悲しいことに、あの頃大嫌いだった、インチキでくだらない大人に、どんどん近づいている。
……。
今日、駅で、チビッコが「ママー!うんちいっぱいでたゼ!」とどや顔で報告しているところを見た。
ライ麦畑で。
ライ麦畑で、僕は、子どもたちがうんちするのを待っていようと思う。太っちょのおばさまのために、毎日靴を磨いて出掛けようと思う。バナナフィッシュにうってつけの日には、海辺を散歩しようと思う。さようなら、シーモア。ありがとう、サリンジャー。
きっかけが何だったのかさえ思い出せない。
スノッブという言葉さえ知らなかった。
僕はとにかく、優等生然としていた。勉強ができたし、先生には気に入られていた。クラスで浮いている子がいるとすすんで話かけた。不良グループとも、それなりに仲良くしていた。
まぁ、よくある話だけど、優等生然としていて実は、僕は心の中でみんなを馬鹿にしていた。みんな、くだらない、クズばっかりだと。
我が侭なガキばっかりだ。陰湿な女の子たちも嫌いだ。先生たちも、体面を取り繕ってばかりで何も考えていやしない。みんなして頭が悪い。ほんとに、どいつもこいつもクズばっかりだ。
「ライ麦畑でつかまえて」を、僕は何故読もうと思ったんだろうか。
女子の間で嫌われている女の子から、ラブレター的なものを貰ったことがある。僕は、それを破ってゴミ箱に捨てた。なんか気持ちわりぃな、という様子で。
変なプライドを身につけた僕には、そんなひどいこともできた。余裕でできた。一番のクズは自分自身だということにもほんとは気づいていたけれど、そこだけは無視して、変なプライドは、僕をどんどん駄目な人間にしていった。
その女の子は、恥ずかしそうに、僕に尋ねた。手紙読んでくれましたか、と。僕は当然のように、うん、ありがとう、と答えた。出来るだけ爽やかに、もちろん笑顔で。心の中でせせら笑いながら、ありがとう、と僕は答えた。くだらないんだよ、お前も、みんなも、世の中ぜーんぶ。はは、ばーか。まったく、気が滅入る。
最近、街で彼女を見かけた。あまり変わってなくて、僕は少しだけ安心した気がする。僕は黙って彼女を見ていたけれど、最後まで目が合うことはなかった。もう会うことはないだろうと思う。
人は成長する。これは真実だ。だとしたら、今の僕は14歳の僕から7年後の僕なわけで、もちろん成長したはずだ。
ところが、だ。
僕はどうもクズのままのようだ。それどころか、悲しいことに、あの頃大嫌いだった、インチキでくだらない大人に、どんどん近づいている。
……。
今日、駅で、チビッコが「ママー!うんちいっぱいでたゼ!」とどや顔で報告しているところを見た。
ライ麦畑で。
ライ麦畑で、僕は、子どもたちがうんちするのを待っていようと思う。太っちょのおばさまのために、毎日靴を磨いて出掛けようと思う。バナナフィッシュにうってつけの日には、海辺を散歩しようと思う。さようなら、シーモア。ありがとう、サリンジャー。





